クエン酸と重曹、どちらも料理や化粧品、お掃除と様々な場面で使われている、万能イメージのあるアイテムですよね。なんとなく、どちらも似ているもの?なんて思うかたもいらっしゃるかもしれませんが、これら2つは大きく異なるもの。
その違いについて、基本の使い方と、今回は特に入浴剤として湯に入れた際の違いを、実験結果と合わせて解説していきたいと思います。
Contents
クエン酸と重曹の違い
それぞれの特徴は?
クエン酸の特徴
柑橘類に含まれる酸味成分で食品や化粧品、清掃製品などさまざまなものに使用されています。クエン酸をお風呂に入れることで疲労回復効果や殺菌作用による美肌効果、体臭予防が期待できると言われています。

重曹の特徴
正式名称「炭酸水素ナトリウム」のことで、市販の入浴剤にもよく使用されている成分です。重曹をお風呂に入れることでお湯が弱アルカリ性になり、皮脂汚れを落としお肌をすべすべにする浴槽掃除がラクになる、といった効果があります。
基本の使い分け
食用としての違い
クエン酸は柑橘類や梅干し、酢などに含まれる酸味成分で、ドリンクとして販売されていたりもします。一方重曹は食品の下ごしらえやパンを作る際のふくらし粉として使用され、全く性質の異なるものです。

お掃除アイテムとしての違い
クエン酸は“酸”と名前についているとおり、“弱酸性”の性質を持っているため、水垢や石鹸カスなどアルカリ性の汚れを落とすのに有効です。一方の重曹は“弱アルカリ性”ですので、カビや皮脂など酸性の汚れを落とすのに効果的です。
湯に入れたときの違い
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実験で比較!クエン酸VS重曹
pH値を測る
実験環境:
水道水(沸かしていない状態)のときのpH値→pH6.5
実験地&時期:千葉県我孫子市/2月
浴槽湯量:200ml
湯温:38℃

実験手順:
①浴槽に張った湯のpH値をpH値試験紙で調べる。
②浴槽に張った湯に10gのクエン酸または重曹を投入してよく混ぜ、pH値をpH値試験紙で調べる。
③以後10gずつ投入し、40gまで②の手順を繰り返す。
クエン酸風呂の結果
写真上から
何も入れていない状態 pH7.5~8.0程度 Mアルカリ度40
10g pH7.5~8.0程度 Mアルカリ度0~20
20g pH6.5程度 Mアルカリ度0~20
30g pH5.8未満 Mアルカリ度0~20
40g pH5.8未満 Mアルカリ度0~20

重曹風呂の結果
写真上から
何も入れていない状態 pH7.5~8.0程度 Mアルカリ度40
10g pH7.5~8.0程度 Mアルカリ度20
20g pH8.0~8.6程度 Mアルカリ度40~80
30g pH8.0~8.6程度 Mアルカリ度120
40g pH8.0~8.6程度 Mアルカリ度180

厚生労働省で定められている飲料水基準はpH5.8~8.6(弱酸性~弱アルカリ性)で、この値は地域や季節によって変わります。
今回実験を行った場所の水道水はそもそもpH値が高く、何も入れていない状態でも弱アルカリ性となっていました。使用した試験紙では最高値8.6までの計測のため、重曹風呂の実験ではこれ以上の変化は見られませんでした。
一方Mアルカリ値には目に見える変化が伺え、重曹の分量を増やすにつれて度数が高くなっていくのがわかります。
※Mアルカリ度とは→水の㏗緩衝能の指標となるもの
・Mアルカリ度が高い→pHの低下に対する抵抗力が高い(緩衝性が高い)ため、適度なアルカリ度を保持することができる。
・Mアルカリ度が低い→pHの低下に対する抵抗力が低い(緩衝性が低い)ため、適度なアルカリ度を保持しずらい。また、Mアルカリ度が低い水(20以下)は、金属を劣化させやすいと言われている。
この結果から言えること
・水道水はそもそも弱アルカリ性の場合があるため、重曹風呂にする際には入れすぎないよう注意する(強アルカリ性になり肌の乾燥の一因となってしまう可能性がある)
・水道水をお風呂の湯として沸かした場合(40℃前後)、pH値が上がる(水とお湯とでpH値が異なる)
・クエン酸は30g程度で弱酸性となるため、こちらもそれ以上は入れないよう注意する(強酸性にしてしまうと風呂釜への影響が懸念される)
・Mアルカリ度が低いと風呂釜への影響が懸念されることからも、クエン酸は入れすぎないよう注意する
・重曹を入れるとMアルカリ度が高くなるため、人が入ったあとでもアルカリ性を保ちやすいと予測される(※皮脂は酸性)
PICK UP ITEM
実際に浸かってみる
実験環境:
湯温:38℃
重曹・クエン酸:各30g

実験手順:
①入浴前に体温を計測する。
②10分間の全身浴をする。
③湯から上がりすぐに体温を計測する。
クエン酸風呂に浸かった結果
実験前体温:36.1℃
シャワー浴後:37.0℃
実験後体温:37.2℃
重曹風呂に浸かった結果
実験前体温:35.9℃
シャワー浴後:36.6℃
実験後体温:36.6℃
浸かった際の体温上昇を比較すると、クエン酸+0.2℃、重曹+0℃と、わずかながらクエン酸が勝っています。この程度の値だと誤差ということも考えられるので、浸かった際の体温比較については引き続き回数を重ねて検証を行っていきたいと思います。
※当実験は複数回・人数の実験結果を用いたものではないため、必ずしも全てのお風呂・人に共通する結果ではありません。
温泉地のpH値の違いを参考にしてみる
ここで、各温泉地のpH値も参考に見てみましょう。
値基準
pH3未満→強酸性
pH3~pH6→弱酸性
pH7→中性
pH8~11未満→弱アルカリ性
pH11以上→強アルカリ性

皮膚炎に良いとされるのは酸性の温泉
酸性の湯は殺菌効果があるため、アトピーや湿疹などの皮膚病に効果があるとされます。また自然治癒力を高めるため、切り傷・火傷にも良いとされています。ただし、刺激が強いため小さなお子様やお肌の弱いかたにはあまり向いていません。
・群馬県伊香保温泉→pH6.4(中性)
・群馬県草津温泉→pH2.0(強酸性)
・秋田県玉川温泉→pH1.2(日本一の強酸性温泉)
“美肌の湯”と言われるのはアルカリ性の温泉
温泉地に行くと、「美肌の湯」といった言葉を目にすることが多いと思いますが、美肌の湯と称しているのは基本的にアルカリ性の温泉となります。アルカリ性の湯は角質層をやわらかくし、古い角質や汚れを落としてくれるため美肌効果があるとされています。特に、日本三大美肌の湯と称されるのが以下3つの温泉です。
・喜連川温泉(栃木)→pH7.6(弱アルカリ性)
・嬉野温泉(佐賀県)→pH7.5~8.5(弱アルカリ性)
・斐乃上温泉(島根県)→pH9.9 (アルカリ性)
結論:酸性になるクエン酸とアルカリ性になる重曹、どっちがおすすめ?
冒頭で解説した通り、クエン酸・重曹はそれぞれ全く異なる性質を持つものなので、一概にどちらが良いとは言えません。それぞれの効果や温泉地のpHなども参考にして、ご自身のお肌に合うものを選ぶのが一番です。
ただし共通して言えることは、どちらも入れすぎないことです。

実験で分かった通り、水道水のpH数がそもそも一定していない点や、クエン酸も重曹も200mlに対し30g程度で十分に効果を発揮するため、それ以上入れてしまうと肌への刺激になってしまいます。さらに強酸性や強アルカリ性など強すぎる性質の湯は、どちらも風呂釜を傷める原因になりますので、クエン酸・重曹いずれを使用する際にも適度な量を入れるようにしましょう。
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