2020.07.14

入浴時の熱中症に関わる意識調査と熱中症の症状別対策法

入浴時の熱中症に関わる意識調査と熱中症の症状別対策法

入浴時の熱中症に関わる
意識調査

お風呂は温泉やサウナも含め私達、日本人にとっては生活に欠かせない習慣と言っても過言ではありません。
しかし近年、高齢者を中心に入浴に関わる事故で亡くなる方が増えています。

そして私達は、お風呂技術を身につけることで「入浴事故をゼロ」にしたいと考えてきました。
(意識×知識×経験=お風呂技術)

そんな中、新型コロナウイルスの影響で「手洗い」に対する意識が世界中で変革していくのを目の当たりにし、入浴事故も意識改革を促すことからはじめたいと考えました。

ぜひ、入浴時の熱中症に関わる意識調査にご協力いただけますようお願い申し上げます。

入浴と熱中症

記者:山田・日比野

お風呂で起こる熱中症の症状について

入浴時や入浴後に起きる熱中症の症状には、
のぼせ・めまい・吐き気・湯あたり・気分不良・動悸・意識消失・冷汗・虚脱感・自力脱出不能・顔色不良・頭痛・嘔吐
などがあります。

熱中症の軽度と重度

熱中症の症状には、軽度なものから重度なものがあり重症度によってⅠ~Ⅲ度に分類されています。

Ⅰ度

めまい・立ち眩み・生あくび・大量の発汗・筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)

Ⅱ度

頭痛・嘔吐・倦怠感・虚脱感・集中力や判断力の低下

Ⅲ度

意識障害・小脳症状・痙攣発作

Ⅲ度熱中症では脱水による臓器血流の低下と虚血、高体温による多臓器不全がより重症化させて死に至ることも少なくないので救急搬送が必要です。
また熱中症による症状は軽度から順を追って出ると思われがちですが、身体の異変に気づくのが遅れると頭痛や判断力の低下などの重い症状になる場合もあります。

熱中症は高齢者だけじゃない

入浴時の熱中症は高齢者がほとんどだと言われていますが、実は若者にも危険が潜んでいます。
そもそも高齢者が熱中症になりやすい要因には、神経系の老化で温度を身体が感じづらくなっていることにあります。
そのため、体温が上昇しすぎていていることに気づかず熱中症になってしまうケースが多くあります。

そう考えると、最近ではお風呂にスマートフォンを持ち込む人が多くなり、YouTubeや映画を見る人が増加しています。
何かに熱中しすぎて身体の異変に気づくのが遅れてしまうと、若者でも熱中症になる可能性が高くなります。
また、ダイエットを目的として発汗作用を促すために長時間熱いお湯に我慢して入浴する若者の死亡事故も実際に報告されています。

熱中症の原因について

入浴時の熱中症の原因は、長時間熱い湯に浸かることで体温が40℃以上になり、意識障害が起き、42.5℃以上の体温で心室細動が起こり、死に至ってしまうとされています。
また、42℃の熱いお湯に浸かると血液が急激に上昇し、身体に多くの負担をかけることにもつながります。

入浴事故につながりかねない身体の体温上昇と湯温と入浴時間の関連について千葉科学大学の黒木教授からお話を伺いました。
そこで黒木教授の「入浴事故の危機管理:なぜ、入浴事故が起こっているのか」の論文から少し詳しく説明したいと思います。

一般的に42℃の風呂に全身浴で入ると、10分間で1℃体温が上昇する
といわれているそうです。
全身浴で37℃の人の体温が3℃上昇し40℃になるには、

  • 湯温が41℃で33分
  • 湯温が42℃で26分
  • 湯温が43℃で21分
  • 湯温が44℃で18分
  • 湯温が45℃で16分

という水温ごとの全身浴での深部体温予測モデルがあるとのことです。
そして、入浴中に40.0℃を超える体温になってしまうと意識障害が起き事故が起こる可能性が高くなる、とのことでした。

熱中症の予防法

熱中症の予防策(入浴中と入浴前後)

  • 入浴前には必ず水分補給を行いましょう。(水や麦茶がおすすめ)
  • 汗を多くかいた日などは入浴前に塩分、糖分、ミネラルを摂りましょう。
  • 浴室内は窓を開けるか換気扇をつけてしっかりと喚起しましょう。
  • お湯の温度は41℃以下にしましょう。
  • お湯に浸かる時間は一回に10分までを目安にしましょう。
  • 入浴中は浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
  • 食後すぐの入浴は避けましょう。(食後1時間が目安)
  • アルコールを摂取している状態での入浴は控えましょう。
  • 精神安定剤や睡眠薬などを服用した後の入浴は控えましょう。
  • 高齢者の場合は入浴する前に同居者に一声かけて見守ってもらいましょう。

熱中症にならないおすすめの入浴方法

湯温:体温+2℃(38℃~40℃未満)のお湯に5分浸かる全身浴を行い休憩しながら繰り返す分割浴がおすすめです。
少しずつ体温を上げることで体への負担も少なく安全に入浴することができます。
正しい入浴には、疲労回復効果・良質な睡眠を促す効果・肩こり、腰痛を和らげる効果などもあります。

その他にも

  • 浴室に時計を設置すること
  • 入浴後に鼓膜体温を測る習慣をつけること

がおすすめです。

熱中症になった場合の対処法

万が一熱中症になってしまったときは、すぐに暑いところを避け体温を下げることが重要です。
特に身体の脇・股・首には大きな静脈が通っているので、冷えたペットボトルや氷などですぐに冷やすことが一番です。
その他には、スポーツドリンク・経口補水液などを補給することも効果的です。

重度の熱中症の症状が出た場合の対処法

重度の熱中症(Ⅲ度熱中症)は、中枢神経症状(意識障害・小脳症状・痙攣発作)などが見られ、すぐに救急搬送が必要で入院加療となります。
また、Ⅲ度熱中症の症状が出ている人を見かけた場合も、すぐに救急搬送をするように行動しましょう。

参考文献