日本は昔から地震大国と言われ、近年特に目立った地震が各地で頻発しています。水や食料、懐中電灯や簡易トイレなどいざというときの備えを行っているご家庭は多いかと思いますが、意外と見落としがちなのが“お風呂”。とりあえず生き延びるには食料や水が必要!と思いがちかもしれませんが、実はお風呂もそれらと同様に非常に重要な存在です。
そこで今回は、8月30日から9月5日の「防災週間」にもちなんで、災害時のお風呂の重要性や実際に行われている入浴支援について、詳しく解説していきます。
災害時のお風呂の重要性
清潔を保つ
災害時のお風呂も最も重要な理由のひとつとしては、まず“清潔を保つ”ことが挙げられます。個々人の衛生状況を保つ目的はもちろんのこと、避難所で大勢のひとが集まる場合に不衛生な状態が続くと、感染症が蔓延したり、不快な臭いが充満してしまう要因となります。
メンタルケア
重要な理由として挙げられるもう一点は“メンタルケア”という点です。
何日間もお風呂に入れず不衛生な状態が続くことは、メンタル的にも弊害を及ぼします。また、お風呂は浸かるだけで自律神経を整えリラックスさせてくれるものです。被災地という生活が不自由な状態の場所でも、入浴することで心身ともに安らぎを得ることができます。
これ程までに重要なお風呂ですが、では、被災地ではどのような入浴支援が行われているのでしょうか。次項でご紹介していきます。
被災地で受けられる入浴支援と問題点
被災地で受けられる入浴支援
自衛隊による支援
自衛隊はテントなどを張り仮設風呂(野外入浴セット)を設置して被災者の支援を行っています。仮設風呂は、移動可能な入浴施設で、多くの人が一度に入浴できるように設計されています。自衛隊の迅速な対応により、被害を受けた地域の衛生環境を一定水準に保ち、被災者の心身の健全をサポートすることが可能となります。
公衆浴場の開放
地域社会も避難所での入浴問題解決に一役買ってくれています。地元の温泉施設や銭湯が被災者に無料開放されることも多く、これにより入浴の機会が増えます。さらに、企業やボランティア団体が簡易浴槽やドライシャンプーといった防災グッズを提供することで、避難所生活の質を向上させる取り組みも行われています。これらの協力体制は、災害時の迅速な対応と長期的な支援の両方において非常に重要です。なお、公衆浴場開放の情報については、各自治のHPなどで公開されます。
被災地で発生するお風呂に関する問題
支援場所までが遠い
支援場所までが遠く、なかなか行くことが出来ない場合や、往復に時間がかかり十分に入浴できないなどといった問題が発生する場合があります。この問題に関して、支援場所までが遠い被災者については、自衛隊による送迎が行われるといった事例も見られます。
赤ちゃんや高齢者などは入浴が困難
免疫の弱い赤ちゃんや体を動かすのが困難な高齢者は、共同のお風呂に入ることが出来ません。このような場合には濡れタオルで全身を拭いたり、災害時用に備蓄しておいたペットボトル水で部分洗浄を行うなどで対応します。過去には、個人のボランティアが赤ちゃん用の簡易風呂を用意するなどといった事例が見られました。
近年の大地震時の入浴支援の事例
能登半島地震
令和6年の能登半島地震では、公衆浴場の協力により、入浴設備の無い避難所やその他入浴が困難な状態なかた向けに、無料入浴支援が行われました。石川県のHPにてその情報が公開されています。
避難所によっては、移動式のお風呂(入浴支援車)や発泡スチロール製の簡易風呂が設置されているところなどがありました。
熊本地震
熊本地震の際にも同様、熊本地震の被災者を対象に無料入浴支援を行いました。さらに県では、この経験を踏まえ災害時により円滑な対応ができるよう、無料入浴支援のマニュアルを作成したとのことです。
東日本大震災
多くの人の脳裏に今もまだ焼き付いている東日本大震災では、各避難所で様々な形の入浴支援が見られました。自衛隊や公衆浴場による支援はもちろん、個人ボランティアによるドラム缶風呂や、民間企業による温泉の湯を運ぶプロジェクトなども行われていました。
普段から備えを!災害時のバスグッズ
水不用の洗浄剤
災害時に水の確保が難しい状況では、水を使わないシャンプーやボディソープなどが非常に有用です。これらの商品は、使用期限も長くすぐに使えるため、非常時には心強い味方となります。
全身清拭ぬれタオル
全身清拭ぬれタオルもまた、災害時に重宝します。これらのタオルは、全身の清潔を保つのに役立ちます。特に、水の供給が断たれた状況では、手軽に体を拭くことができるため、労力を大幅に軽減します。
PICK UP ITEM
防災用としてはもちろん、旅行時やスポーツ観戦時にも!
非常用ウェットタオル(ガーゼタオル)
薄いガーゼ生地のためとっても薄い。
防災バッグにしまっておくといざというときに役立ちます。
バッグに入れて邪魔にならないから、汗ばんだ時や夏のスポーツ観戦など非常事態以外のときでも持っておくと便利です♪
ペットボトル水
普段の備蓄として飲料用の水のほか、部分洗浄できるように余分に水を用意しておくと安心です。なお、お風呂のお湯に関しては、以下の理由から否定的な意見が多いです。
いざというときのため、普段からこういった備えを行っておくことが重要です。当記事をご覧頂いたのをきっかけに、是非いまいちど、防災対策を見直してみてくださいね。
バスリエでは災害とお風呂のアンケート調査を行っています。より良い情報提供を行っていくため、是非ご協力をお願い致します!