暑熱順化(読み方:しょねつじゅんか)という言葉を聞いたことがありますか?
毎年夏が近づくと「熱中症対策」が話題になりますが、実は暑熱順化をしておくことで、熱中症のリスクを大きく下げられるのです。
当記事では、「暑熱順化」の基本から、運動や入浴でのトレーニング方法、運動との組み合わせについて、そして基本の熱中症対策についてまで、夏を元気に乗り切るための方法をわかりやすく解説します。
”暑熱順化”とは「体を暑さに慣れさせる」こと
”暑熱順化”について知ろう
「暑熱順化(読み方:しょねつじゅんか)」とは、体が暑さに対応できるように変化することを指します。簡単に言えば、「体が暑さに慣れる」ことで、厚生労働省が熱中症対策として取り上げていたり、トップアスリートのかたのトレーニングとして取り入れられていたりもします。
夏になり気温が上がると、体温も上昇しやすくなり発汗や血流調整がうまくいかず、熱中症の危険が大きくなります。そこで、夏本番になる前に“適度に汗をかいて暑さに慣れるトレーニング(暑熱順化)を行う”ことで、体の調整機能を高めておくことが大切なのです。

”暑熱順化”の効果
暑熱順化を行うと、身体に次のような変が起こります。
・発汗量が増える
・心拍数が安定する
・体温調節がスムーズになる
これらの効果により、体温上昇が緩やかになり、心拍数が急激に高まることを抑え、体温調整がスムーズに。暑さに強い体づくりが実現します。
実際に厚生労働省も暑熱順化の必要性を呼びかけており、熱中症の発症リスクを下げる科学的根拠も示されています。
暑さに慣れていないと、同じ気温でも体にかかる負担が大きくなりがちです。逆に言えば、暑熱順化をしておけば、真夏でも快適に過ごしやすくなるのです。
参考サイト:厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133_00001.html
発汗による健康効果
前述のとおり、暑熱順化により汗を意識的にかくようにすることで、体温調節機能が高められます。汗をかくことにより汗腺の機能を高めることで、体温調節を正常に行うことにつながり、夏バテや熱中症予防にプラスの効果になるのです。
また、こういった健康への良い影響のほか、美肌効果やむくみの解消など、他にも嬉しい効果がたくさん。反対に、汗をかかないと体調不良の原因にもなり得るので、積極的に汗をかくようにすることはとても重要です。

汗をかかないことによる体調不良の例
・体温調節が出来ず熱中症や夏ばてになる
・冷えやむくみの原因になる
・肌トラブルを引き起こす
・汗が臭くなる
”暑熱順化”のやり方
運動によるトレーニング
まずは、ウォーキング・ジョギング・自転車などの有酸素運動が基本です。
運動で体温を上げて発汗を促し、暑さへの耐性を高めます。軽めの有酸素運動を継続的に行うことで、心拍数や発汗のコントロール機能が強化されていきます。

おすすめの運動
・ウォーキング(初心者向け)
時間:20~30分
速度:少し息が上がる程度(会話はできるくらい)
・軽いジョギング(中級者向け)
時間:15~20分
・自転車 or エアロバイク
時間:20~30分
・ジオ体操やストレッチ+スクワット
※運動不足の方や高齢者におすすめ
運動時の留意事項
開始時期:気温が20℃を超え始める春~初夏
頻度:週5日以上(できれば毎日)
期間:2週間以上が理想
時間帯:朝または夕方の比較的涼しい時間帯
注意点:水分+塩分補給を忘れない
入浴によるトレーニング
“風呂キャン”といった言葉が流行るほど、近年、特に若いかたを中心としてお風呂に入らない派が増加している傾向があるようです。しかし、“入浴”は最も手軽な暑熱順化トレーニングです。暑熱順化のみならず、お風呂には疲労回復や快眠、美肌といったさまざまな効果がありますので、是非毎日湯舟に浸かる習慣を身に付けましょう。

お風呂の基本の効果
お風呂に入ることで、温熱効果・浮力効果・静水圧効果が働き、これにより、血行を促進する、自律神経を整える、身体の不調を改善するといった様々な嬉しい効果が得られます。自律神経を整えることにより、体の体温調節機能が正しく働き、これにより熱中症予防をすることができます。また、湯船につかり汗をしっかりかくことで汗腺の機能が高まり、同じく熱中症予防に繋がるのです。
お風呂で暑熱順化をするメリット
お風呂は身体に無理な負荷をかけずに暑熱順化トレーニングを行うことができます。サウナでも同様に暑熱順化をすることは可能ですが、急激な体温上昇はしないため、高齢者や子どもでも安全に行えるのです。また、普段運動をしていないひとにとっては、運動を開始するということがなかなか困難かもしれません。しかしお風呂であれば、すでに毎日の習慣となっているかたもいらっしゃるでしょうし、風呂キャン界隈と言われるかたがたでも、お風呂を沸かすといったちょっとしたひと手間で、開始することができます。
暑熱順化を意識したお風呂の入り方
入り方:40℃の湯船に10〜15分、全身浸かる“全身浴”
頻度:最低2日に1回(理想は毎日)
おすすめのタイミング:就寝前など、リラックスタイムに
注意点:入浴による熱中症を防ぐため、入浴前後の水分補給を必ず行う
サウナも暑熱順化に効果的
「サウナも暑熱順化に使えるの?」という声もありますが、答えはYES!
短時間で体温が上昇し、大量の汗をかくことができるため、効率的に暑さに慣れることができます。サウナ後は冷水浴→休憩をセットで行い、自律神経を整えるトレーニングにもなります。初心者は5〜8分からスタートして、無理のない範囲で行いましょう。また、持病がある方や高齢者は医師の相談を忘れずに。

運動×入浴で効果UP
実は、運動後に入浴やサウナを組み合わせると、暑熱順化のスピードが上がるという研究も。日中に軽く運動し、夜は入浴やサウナでしっかり体温調整を促す——このリズムが理想的です。
熱中症対策あれこれ
暑熱順化の「期間」は?いつから始めればいい?
暑熱順化は数日〜2週間程度の継続で効果が表れるとされます。
特に5月〜6月の気温が高くなり始めたタイミングで、早めに始めることが重要です。沖縄などの暑い地域では、4月の終わりごろから始めても早すぎではありません。 なお、折角開始した暑熱順化トレーニングも、たった1〜2日さぼるだけで逆戻りするリスクがあります。そのため、“継続する”ということが非常に重要なカギとなります。
食べ物でサポート!暑熱順化を助ける栄養とは?
体の内側からのサポートも忘れずに。特に汗で失いやすいミネラルや疲労回復成分を含む食べ物が有効です。
・カリウム:バナナ、ほうれん草、アボカド
・クエン酸:梅干し、レモン、黒酢
・ビタミンB群:豚肉、納豆、卵
・マグネシウム:ナッツ類、玄米
こまめな水分補給も忘れずに、体の調整力を高めましょう。

まとめ|“暑熱順化”は今日から始められる、最強の熱中症対策!
「暑熱順化 とは」と検索したあなたは、すでにこの夏を元気に乗り切る準備ができています。
・「運動」や「入浴」で汗をかいて、暑さに負けない体づくり
・「サウナ」や「食べ物」で暑熱順化をサポート
・「いつから?」と迷わず、今から始めることがベスト
暑さに強く、快適に夏を過ごすために。
今日から、無理のない暑熱順化をスタートしましょう!