2021.12.01

ゆず湯や菖蒲湯だけではない!12ヵ月の季節湯を解説

ゆず湯や菖蒲湯だけではない!12ヵ月の季節湯を解説

寒い冬はもちろんですが、日本人の生活には季節を問わず春夏秋冬を通じて「お風呂」が欠かせません。
体を洗って清潔に保つことはもちろんですが、ゆっくりと湯船につかって心身の疲れをリフレッシュする習慣は海外にはほとんど例がなく、日本特有の入浴方法だとされています。
そして、1年12ヵ月にちなんだ薬草を入れる季節湯もまた日本人独特の習慣です。今回は季節湯についてフィーチャーしました。

季節湯とはどんなもの?

季節湯の定義

冬至の日に湯にゆずを入れる「ゆず湯」や端午の節句である5月5日に菖蒲を入れる「菖蒲湯」など季節の植物を湯船に入れる習慣がありますが、こうした季節にちなんだ植物を湯船に入れてつかる入浴法のことを「季節湯」と呼びます。

各月の季節湯の特徴は?

各月の季節湯まとめ

1年間における12カ月それぞれの季節湯の種類は次のとおりです。合わせて効能もみていきます。

  • 1月 松湯
  • 2月 大根湯
  • 3月 よもぎ湯
  • 4月 さくら湯
  • 5月 菖蒲湯
  • 6月 どくだみ湯
  • 7月 もも湯
  • 8月 はっか湯
  • 9月 菊湯
  • 10月 生姜湯
  • 11月 みかん湯
  • 12月 ゆず湯

1月「松湯」

新年を迎える際に玄関に飾る「門松」ですが、冬の時期も青々とした緑を保っている松は「不老長寿」の象徴とされています。
また、「神を待つ(松)木」として大変縁起の良い植物だとされています。松には精油成分が多量に含まれており、体のすみずみまで温まるとして1月は松湯に入るようになりました。

効能:保温効果、森林の香りでリフレッシュ効果

2月「大根湯」

大根の辛味成分には炎症を抑える、咳を止める、殺菌効果などがあり風邪をひいたときなどは昔から食べられていきました。
また、大根の葉にはビタミンAやB1、C、E、カルシウム、鉄、ナトリウムなどの成分が豊富で、このほか温泉に含まれるという塩化物質や硫酸イオンなども含まれています。

効能:保温効果、新陳代謝の促進、民間療法として冷え性や婦人病治療などにも

3月「よもぎ湯」

春が旬のよもぎは草団子や草餅などの材料として身近な植物です。漢方に使われるほどの高い薬効を持ちます。

効能:止血、殺菌、保温・発汗、解熱作用、肩こり・ようお通・神経痛に効く、香りでストレス解消・安眠

4月「さくら湯」

桜湯には樹皮を用います。煮出した樹皮には消炎効果があるとされ、湿疹や打ち身などの炎症を和らげる目的で桜湯に入る習慣ができました。

効能:消炎、湿疹・打ち身に効く

5月「菖蒲湯」

端午の節句(5月5日)に菖蒲を「勝負」や「尚武」にかけて、武家の子供の丈夫な成長を願って菖蒲を入れたお風呂に入ったのが始まりとされています。
菖蒲湯はとても強い香りがしますが、この香りが邪気を祓い厄難を除くとされたため、菖蒲湯に入る文化が広まったとされています。

効能:血行促進、疲労回復、香りでリラックス

6月「どくだみ湯」

多くの効能を持つどくだみは漢方の世界で「十薬(重薬)」とも呼ばれており、「ゲンノショウコ」「センブリ」とともに日本三大薬草のひとつとされています。抗菌や消炎効果を期待され、昔からにきびやあせも、湿疹対策として用いられました。
湿気が多く、暑くなり始める6月にぴったりの季節湯です。

効能:消炎、抗菌、あせも・湿疹・水虫・かぶれ

7月「もも湯」

7月ごろから旬を迎える桃。「夏の土用はもも湯に入る」のは江戸時代からの習慣です。
肌トラブルを抑える効果があるので、紫外線量の多い夏場にはぴったりの季節湯です。

効能:消炎、解熱、収れん、日焼け・あせも・湿疹・虫刺され

8月「はっか湯」

ハーブの一種「ペパーミント」でありメントール成分が爽やかで清涼感が味わえる「はっか湯」は真夏の暑い時期によく合う季節湯です。
湯上がり後はさっぱりとしますが実は体を温める効果があり、冷房による冷えにも効果的です。

効能:保温、血行促進、疲労回復

9月「菊湯」

菊の香りは夏の疲れを癒してくれるものとされてきました。菊湯には通常、乾燥したものを使うが、生のまま使われることも。
なお、菊湯には野生で多くみられるリュウノウギクという種類を用います。

効能:保温、血行促進

10月「生姜湯」

辛味成分と精油成分が豊富で、湯に入れると身体を温める効果があるとされてきました。
また辛味成分には、防腐・抗菌作用、抗酸化作用があるとされ、さまざまな漢方にも用いられている。

効能:保温、血行促進、抗菌

11月「みかん湯」

柑橘類の果皮に含まれる精油成分には血行促進作用があり、体が温まり湯冷めしにくいという効果がります。冬の定番果実「みかん」は美味しく食べるだけではなく、皮を季節湯として用いることができます。
古くからみかん湯に入ると「体が温まり風邪を引きにくい」といわれてきました。

効能:保温、美肌効果、爽やかな香りでリラックス効果

12月「ゆず湯」

冬至には「ゆず湯」に入ると一年中風邪をひかないという言い伝えがあります。
この時期に旬の「ゆず」はみかんと同じく柑橘類の果実なので、体を芯から温める効果があり、冬の薬湯としてもうってつけです。

効能:保温、血行促進、消炎、抗菌、冷え性・ひび・あかぎれ・風邪に効く、爽やかな香りでリラックス効果

季節湯の歴史は?

季節湯の歴史は古く、平安時代に真言宗の開祖である空海が医療の一環として始めたものだとも言われています。当時は季節湯の薬効を治療として用いられていたと考えられます。

江戸時代になると一般的になり、季節湯は治療を目的として処方化され、皮膚病などに用いられました。
また、慶長年間の終わり(17世紀初頭)になると、あちこちに銭湯が建てられ、「町ごとに風呂あり」といわれるほどに広まりました。 その中には端午の節句の菖蒲湯、冬至の柚子湯をはじめとする「季節湯」を、身体に良い薬草風呂として用いることもあったようです。 銭湯の主人は客寄せのために「草津温泉の湯花入り」「あせもや胃弱に効能がある」など、さまざまな効能をアピールしたといいます。

なお、江戸時代の銭湯は混浴でした。幕末の日本に来たペリー提督は、その様子を見て「男女混浴なんて、日本人は野蛮な民族だ」と評したそうです。 風紀の乱れを案じた徳川幕府は、「寛政の改革(時の老中・松平定信が発布。1787年~1793年)」において「混浴禁止令」を出しますが、ほとんど守られることはありませんでした。 銭湯側が御触れを無視して混浴を続けたのは、男湯と女湯を分けると水や燃料がかさんでしまうなどの理由があったからです。
そこで禁止令に対して、営業形態を混浴の認められていた「薬湯風呂」にした結果、「薬湯風呂」が流行ったといわれています。混浴が認められていたから薬湯風呂、季節湯の習慣が残ったという見方もあると言えそうです。

まとめ

  • 季節にちなんだ植物を湯船に入れる入浴方法のことを「季節湯」と呼ぶ
  • 季節湯は1月から順に松湯、大根湯、よもぎ湯、さくら湯、菖蒲湯、どくだみ湯、もも湯、はっか湯、菊湯、生姜湯、みかん湯、ゆず湯
  • 季節湯の歴史は古く、医療の一環として始められたものといわれている
  • 混浴禁止令に対して混浴の認められていた「薬草風呂」にした結果、季節の「薬湯風呂」が残ったという見方もある

日々の疲れやストレスをリフレッシュしてくれる季節湯の薬草風呂は多くの人が利用しています。
銭湯など温浴施設はもちろん、自宅風呂でも多種多様な入浴剤や漢方薬、生薬を用いて薬草風呂を楽しむ人も多いようです。 季節湯は健康に良いとされると同時に、季節の移り変わりを感じられるものでもあります。季節の薬草を浮かべた湯船にゆっくりとつかってみてはいかがでしょうか。

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